ケルトの祝祭「インボルク」

いよいよ2月が始まりましたね。
今日、2月1日はケルトの暦で
春の始まりを祝う「インボルク」と
呼ばれる祝祭日です。

まだ暗く寒いのに、
それも日本より寒さの厳しい
北ヨーロッパで、
春の始まりを祝うのは
少し早すぎる気もしますが、

ケルト語を話す人々の社会では、
このころ牧場で子羊が誕生し
初めての乳搾りを祝う
牧畜の初日となる日とのこと。

女神ブリギッドに豊かな恵みを祈る
祝祭を行ったと言われています。

女神は後に
ケルトの血を引く、
アイルランド生まれの
キリスト教の聖女ブリギッド(451〜525)と
重ね合わされ、
「聖ブリギッドの日」になりました。

人々は、2月1日
(実際には前日の日暮れから)
ナナカマドを捧げ、

ローズマリーやシナモン、
タンポポの根、オレンジピールを混ぜて、
豊穣と癒しの女神、聖女ブリギッドに祈りながら、
春を迎えたそうです。

一説では、ナナカマドは
ケルトの暦で2番目の月
(1/21〜2/17)の守護樹であり、
インボルクの聖樹です。

ナナカマドは岩山でも牧草地でも
育つことのできる木で、
5月に白い小さな花を
たくさん咲かせます。

花自体は1センチほどで
とても小さいのですが、
まるく房状にまとまります。

花びらとガクは各5枚で星形を作り、
秋に実る、真っ赤な果実にも
星形が見えます。

ケルトの人々にとって
「5」という数は神聖な数のひとつで、
とくに5つの先端を持つ星型は
魔除けのシンボルでもあったとのこと。

ナナカマドの枝は、
暗い冬の魔の力や病気から人々を守り、

インスピレーションやヴィジョンを授けて、
その年に向けて人々の気持ちを目覚めさせる、と
信じられていました。

ナナカマドは実際に、
果実や樹皮を含め、
どの部分にも薬効があり、
霊的な力を高めて
体を癒す力があると
考えられていたとのこと。

遠く離れた日本でも
とくにアイヌの人々が
ナナカマドを薬草として
使っていたそうです。

日本とケルト、古代と現代、
距離も時間も遠く離れていますが、

ケルトのことを知れば知るほど、
時空を超えて、
今の私たちの暮らしや気持ちのありようと
響き合う要素があるように感じます。

ケルトの暦や植物には
私たちがすこやかに生きるヒントが
多く秘められているようです。

今日のインボルク、そして
数日後に迎える、節分・立春を
新しい始まりの節目として、

光と春の到来に共鳴する
内なる力を信頼して
過ごしたいものです。

2月もお元気で
お過ごしくださいね。

 

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