ケルトの暦の聖なる樹4.ハンノキ

3月18日から4月14日まで
ケルトの木の暦は
4番目のハンノキの月です。

ハンノキは
ヨーロッパからアジアまで
広く分布している広葉樹です。

独特なのは
広葉樹なのに、
球果を付けること。

冬、落葉した後も
球果だけが残っているので、
一目でハンノキだと
見分けられます。

水の好きな植物で、
川岸や湿地などに
見られる木です。

日本でもハンノキは
湿地に育ち
(Alder japonica)
樹高は15~20mまでになります。

ヨーロッパには
セイヨウヤマハンノキ(Alnus glutinosa)、
ヨーロッパハンノキ(Alnus incana)が
育っています。

見た目は華奢ですが、
土壌を豊かにする性質があり、
水に浸かっても
腐りにくく、
石のように固くなるため、

沼沢地の道や
湖上で生活するための
住居の建材として利用されました。

(16世紀、イタリアのベネチアの町は
ハンノキの杭の上に建てられていました。)

実用性のある木ですが、
古代ケルトの人が
ハンノキを崇拝した大きな理由は、
木を切ると血を流しているように
見えたからでした。

切った直後、白かった切り口は
空気に触れることで
赤く変色するのです。

赤色から
みなぎる生命力や生きる勇気、
永遠不滅の生命を連想したのでしょう。

自らの根を使い
土壌を豊かにするハンノキは
神聖視され、
豊穣をもたらす神の
寛大さの象徴とも
とらえられました。

水にも腐りにくく
硬い木であることから
ケルトの人は
妖精の国へ続く道の
守り木ともとらえました。

また同時に、切り倒すと
家が火事になって全焼するとも考え、
ハンノキに敬愛と畏怖の念の両方を
抱いていました。

北欧神話で人間のもとは、
トネリコ(男)と
ニレの木(女)でしたが、

アイルランドの伝説では、
男性がハンノキから
女性はナナカマドから作られたと
伝えられています。

ハンノキは、
ケルトや古代ブリテンの神、
ブランのゆかりの木(トーテム)です

ブランは人々の幸福に心を砕く寛大な神で、
その性質は、
ハンノキが土壌を豊かにし
生命に恵みをもたらす寛大さにも通じます。

北欧神話では
3月は、
ハンノキを冬の眠りから覚ます
「日が長くなる月」と
とらえられていました。

冬の間に蓄えた食糧が底をつき、
食べられなくなる時期、
ハンノキが眠りから目覚めることで
生命の復活と豊かな実りを
願ったのでしょう。

自然界に目を移せば、
夜はかならず朝になり、
冬はかならず春になります。

ハンノキは
これから光に向かい
豊かな実りを得る季節を
象徴しているのです。

自らを使い、
豊かさをもたらす寛大さと、

水に浸かっても腐りにくく
硬い木になって自分を守り
周りを支える力強さの両方を
ハンノキは持っています。

水は感情を象徴すると考えるなら、

感情に浸かっても
自分を守り抜く強さを持つハンノキ。
その強さで他を支える力を持つハンノキは、
今の私たちにも
大切なメッセージを届けてくれているように思えます。

今の大事な時を
自然界の教えも胸に、
乗り越えていきたいものです。

どうぞお元気でお過ごしください。

●ワークショップ・スケジュール

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